今まで、日記と言うものはmixiに書いてきましたが、mixiでは、自分の思いを伝えられる人が限られてしまうのではないかと、最近になって思いました。
より多くの人に、良い情報を発信できたらと思い、今日からは、写真だけでなく、情報もこちらに載せていこうと思います☆ まずは、私が去年の10月から滞在している奄美大島での話し。 瀬戸内町の清水と言う集落に、昔ながらの生活と伝統を守ってくらしているおじいちゃんが居ます。今で言う、パーマカルチャーと言われるような生活を、昔から続けている人。 その名も いさおじ。 いさおじから聞いた貴重な貴重なお話を、纏めて載せたいと思います。 ☆まずは、奄美大島における神への信仰について☆ 奄美大島において、神とは 月と山 なのだそうです。 (ちなみに、沖縄は先祖信仰です。奄美も琉球王朝に統治されていた時代があり、お盆の伝統行事や、いさおじの話を聞く限り、奄美大島にも先祖信仰の面影がみられるように思います) 旧暦の正月(1月)、5月、9月は神月(かみつき)と呼ばれ、神様を拝むのだそうです。 神月の16日には、山の神様を拝みむ日そうです。 山神様用の神棚をその日はお膳に下ろして、昆布と塩を一緒に皿に入れて神棚にお供えし、拝むそうです。 その時の昆布は保管し、山に入る時に口に含むのだそうです。 なぜ16日が山神様の日かと言うと、神月の16日は、山の神様が居ない日なのだそうです。その日は、山神様が山で狩をされている。と言われいるのだそうです。 なので、神月の16日には、人は山には入らないのだとか。 ちなみに、山神様が狩に連れて行く犬は4匹で、一番良い犬が白犬、次が赤犬、次が黒犬、最後が虎犬なのだそうです。 なので、今でも猟師は山に犬を放つ際に、「いち白に赤さん黒よん虎 行け!」っと言うのだそうです。 この犬の順番は、山の中で見つけやすい色の犬の順番なのだそうです。 次に、月神様を拝む日ですが、これが山神様とは少し違う。 自分の生まれ年の干支によって、拝む日が違うのだといいます。 ちなみに、いさおじは犬年なので、15日だそうです。 羊の人は24日で、、、っとそれぞれに日にちが決められているそうです。 神月の13日以降から、各干支ごとに設定されているそうです。 (恐らく、月の満ち欠けと干支に何かの関係があるのだと私は推測しています。) 月神様を拝むときは、お団子をお供えして月を拝むのだそうです。 つまり、月見団子です。 いさおじは、「内地の月見と似ているね」っと言いますが、奄美のこれが原形なのではないかと私が問うと、「そうかもしれないね」と、言っていました。 そして、島の外に出稼ぎに行っている人が拝むのが、23日なのだそうです。 23日は、旅の神様を拝む日だからなのだそうです。 ちなみに、旧暦の1月2日は大工の神様の日なのだそうです。 これら以外にも、色々な神様を拝む日があるのだそうです。 悲しいことに、これらの神月にまつわる伝統は今や無くなってしまったそうです。 ☆奄美では北をニシと呼ぶ☆ 沖縄でも北をニシと呼びますよね。 奄美でもそうです。その理由ですが、、、、 その昔、平家が本土から奄美に落ち延びてきました。 (平家が残した名残が奄美の随所にあります) 奄美から見て北に位置する日本本土を意味する言葉として、平家が「北」と言う言葉を嫌い、 北を「ニシ」と呼ばせたそうです。 それ以来、奄美大島では北を「ニシ」と言うのだそうです。 沖縄は、別の理由があるのか、奄美からそれが伝わったのかは、調べていないので不明。。 ☆良い夢と悪い夢☆ 奄美大島には、猛毒を持つハブがいます。 今でこそその数は減少したものの、昔は本当にたくさんいたとか。 いさおじいわく、一晩で15匹も捕まえたことがあるそうです。 血清が無い時代は、ハブに噛まれたら死ぬか、体に酷い後遺症が残ったそうです。 いさおじのおばあちゃんは、彼が6歳のときに、ハブに噛まれて亡くなったそうです。 そのおばあちゃんが、死ぬ間際に残した言葉が、 「猫に噛まれる夢を見たら、山に入るな」 「警察と税務署勤めだけにはなるな」 だったのだそうです。 警察と税務署~っと言うのは、奄美の人々をその昔非常に苦しめたお役人だから。 警察官に暴力を振るわれたり、無実の罪を着せられたりは日常茶飯事だったそうです。 税務署も、奄美の人々は砂糖の製造ノルマなどで散々苦しめられていたそうです。 今も、大して変わらない実態ですね。。。。。。 本題にもどり、「猫に噛まれた夢を見たら山に入るな」ですが、 奄美の方は、猫に噛まれた夢を見ると、「ハブに噛まれた!」と言っていたのだそうです。 なぜなら、猫の爪の様子が、ハブの口と非常に良く似ているからだとか。 猫と、馬が夢に出てくると、悪い夢なのだそうです。 馬が何故悪いかは、いさおじもわからないのだとか。 そして良い夢、これが、なんとハブの夢。。。。。。 ハブの夢を見ると、お金が入ってきたり、お客が来る、良い出会いがある事のお印なんだと言うことです。 信じがたい話ですが、「昔の人のいう事は、全部正しいよ」っといさおじの言葉を信じてみようと思います。 ☆土葬の話☆ 奄美大島は、つい最近(と言って数十年まえ?)まで土葬で亡くなった人を埋葬していたそうです。 内地でも、人が亡くなったら3日目、初七日、49日などに行事がありますが、それらは、土葬で人の肉体が土に返って行く過程の、肉体の変化の節目なのだそうです。 3日目に遺体が膨れ上がる。 7日目に、肉体の腐敗が始まる。 49日目に、骨から肉が剥がれ落ちる。 そして、7年目に、完全に肉体が土に帰るのだそうです。 今まで、わけも分からずにやっていましたが、実はそういう事なのだそうです。 奄美大島では、7年目に改葬をします。 土を掘りお越し、骨を取り出して、海で洗うそうです。 そして、頭蓋骨は白い布で包み、それ以外の骨はそのまま、甕に入れてお墓に入れたそうです。ちなみに、その甕には一族の骨が全部入っているため、誰の骨なのか分かるように、頭蓋骨を包んだ布に、名前を書いておくのだそうです。 そして、すこし不思議な話。 脳だけは土に返らずに、頭蓋骨の中に残るのだそうです。 水分が抜け、小さく縮んで、硬く乾燥した脳みそが、頭蓋骨の中に残っているのだそうです。 「不思議だよねぇ、本当に不思議だよねぇ」といさおじが首を傾げます。 一番先に土に帰りそうな箇所ですが、何故かそこだけが残る。 脳には、特別な何かがあるんですね。 私は、奄美大島での、「死」の捉え方を知ったとき、もの凄く衝撃的でした。 最初は、なんて野蛮な、、、くらいに思いましたが、よくよく話を聞いて、自分の中で消化していくと、こんなに素晴らしい死者の送り出しは他には無いとおもいます。 「火葬は冷たい」っといさおじが言う意味が、わかります。 7年かけて土に戻る過程を、ほんの数時間でやってしまうのですから。。 朽ちていく肉体を思ってくれる人も居なければ、死んだ後に骨を洗ってくれることも無い。 いさおじは、土葬が禁止された今でも、自分の埋葬は土葬を希望しています。 死んだ後も、みんなが自分を思ってくれて、7年たてば骨を洗ってくれて、毎年お盆には盛大に迎えてくれて、、、、、そう思うと、死ぬのが恐くないなっと思えます。 そんな不思議な感情が、奄美に来てから生まれました。 ☆お盆☆ さて、死者の埋葬について書きましたが、今度は死後の事。 このお盆の風習が、沖縄の粟国島で聞いお盆の風習と一致する部分が多く、 奄美にも先祖信仰があったのではないかと、私は思うのです。 奄美大島では、旧暦の7月13日から15日がお盆です。 まずは13日 午前中に、お墓の掃除をし、その後灯篭を持って霊を迎えに行きます。 このとき、無縁仏と言って、親戚がいなかったりと、この世と無縁になってしまった方の霊も一緒にお迎えにいくのだそうです。 この日のお供えものは、お茶とお菓子だけ。 14日 この日は、朝、昼、晩、と3食を野菜や果物などの生物と、お粥をたいて接待する。 (精進料理なので肉・魚はなし) 15日 朝・昼・晩と天婦羅などのご馳走を作って接待する。 仏壇の前に屏風を立て、見えないようにしてお供えをするそうです。 そして、この世の人間も、その屏風の中にはいり、霊と共に食事をとるのだそうです。 お膳にバナナの葉っぱを敷き、その上にご馳走をのせる。 お箸は、「ショウロウバシ」といわれる、木の様な、草の様なものを畑や山から切ってきて、おはしとしていくつも並べるのだそうです。 13日の夜から、15日の夜まで、庭に火を炊いて、無縁仏はその火の周りで夜を越すのだそうです。(身内の霊は、家の中の仏壇があるので、そこで夜を越す) 葉っぱのついた2Mほどの高さの木を3本ほど切ってきて、 それを庭にトライアングル型に立て、目の高さほどの位置に藁をくくり、その上に竹を置いて棚を作ります。(その上に何かを置くのですが、メモするのを忘れてきました。。。) そして、その木の下の部分には松の木を燃やして火を炊くのだそうです。 (鵜飼などでも使われる、松の木の芯の部分で、貴重なものですが、油分が多く、非常に良く燃えるのだそうです) そして、その火の周りで、無縁仏は一晩を過ごすのだそうです。 15日は、夕方頃に、また灯篭を持って霊をお墓まで送るのだそうです。 そして、集落の集会所に松の木で火を焚き、この世の皆で盆踊りを踊る。 そして、お墓にも松の木で火を焚き、霊が盆踊りを踊るのだそうです。 「むかしは、加計呂麻島なんて、お墓が煙で凄かったよ」っといさおじが言う。 いさおじの住む清水集落は、海を隔てて加計呂麻島の渡連集落の向かい。 渡連以外の集落もお墓は海岸沿いにあるので、煙が良く見えた。 と言うことです。 何代遡って霊をお迎えするのかなど、詳細を聞くのを忘れてしまったので、また聞きにいこうと思っています。 このお盆の話のなかで、いさおじが一番強く言っていたことは、 無縁仏もお迎えすると言う、素晴らしい風習があるという事です。 この世に親族がいない霊でも、集落全体で迎えて、温かくもてなす。 そんな心温まる、優しい思いが奄美のお盆にはあるのです。 ☆まとめ☆ 長々と書いてしまいました。 私がメモをなくしてしまった時の為の(100%失くす)、バックアップ代わりににもしたいので、 聞いた話の中で、奄美に関する事を全て書いてみました。 悲しいことに、ここの書いた伝統行事、風習は、今は全て奄美から姿を消しています。 それに、ここに書いた行事は、ほんの一部。 奄美には、それはそれは、沢山の行事があったそうです。 戦争、日本復帰、東京オリンピックでのテレビの普及、主にこの3点が奄美の文化が消失した原因だとのこと。 これは、いさおじも、与論島で島の伝統に付いて話をしてくれた方も同じ見解でした。 昭和29年の日本復帰前までは、奄美大島は自給自足の生活をしていたのだそうです。 お酒も、タバコも、米も、何もかもを自分で作っていたのだとか。 日本復帰後、税務署がやってきて、全てのものを作ることを禁じた。 その事で、農業がなくなり、集落の結(ゆい)の精神が無くなった。 電気・ガス・水道が整備され、生活スタイルが急速に変化した。 そして、伝統行事が無くなったのです。 そして、東京オリンピックで日本全国に普及したテレビ。 それまでは娯楽が何も無かった奄美大島では、夜になると皆で三味線を持ち寄って唄を唄ったのだそうです。それが、テレビの普及後、テレビが最大の娯楽となり、島唄が衰退してしまったのだそうです。 そして、同時に奄美大島の島言葉(方言)も、衰退を始めたのだそうです。 今の若い人は、方言が話せないそうです。 40代以上の人は、バイリンガル。島言葉も、共通語も話せる。 与論島の方が、島の言葉は自分達の母語だ。消え行く今、これを守らなければ、手遅れになる。っと、おっしゃっていました。 言葉も、伝統も、時代と共に消えて行くなんて、悲しすぎる。。。。 奄美大島は、今とても重要な岐路に差し掛かっているんですね。 「何も無い方が楽しいのにね」といさおじが言いました。 「私もそう思います。」 「これからの時代の人は、大変だね」いさおじが言います。 「もうすぐ人生が終るけど、良い人生だったよ」といさおじが言いました。
by atsuko-sunaoni
| 2008-04-09 02:41
| 奄美大島での出会い
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